-Seven Ocean-

良いと思ったことを忘れないうちに。

アイドルとは物語である。

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2019年3月8日の金曜日。
この日にさいたまスーパーアリーナで行われたファイナルライブをもって、
7人組のアーティスト、Wake up,Girls!は解散しました。
平日にもかかわらず満席となった会場を見て、
「本当にWake up,Girls!のライブなのか?」
と僕は正直に思いました。今までに見たことのない客数だったから。

自分が見てきた今までを振り返りたいと思います。

 

  • 彼女たちが誕生した瞬間
  • 最悪なスタート
  • 転機はWake Up, Girls!VS I-1club
  • Beyond the Bottom
  • Wake up,Girls!ってまだいたんだ(笑)
  • 輝きを増していた圧倒的パフォーマンス
  • 約束の時、約束の地で
  • 僕たちの第2章

 

■彼女たちが誕生した瞬間
2013年の夏に行われたワンダーフェスティバルにて、
WUGの7人がパフォーマンスを初披露しました。
僕はワンフェスが始まる数か月前に、
「友人が関わってるんだけど、今度こういう作品やるみたいだよ」
知人からそう言いいながら教えてくれたのがWake up,Girls!でした。
そのときはとりあえず見てみるか、みたいな感じだったような記憶があります。
アニメ放送よりも先にキャストがパフォーマンスするという情報が来ました。
ニコ生でやっていたので、彼女たちのパフォーマンスを全部みました。
「すげー・・・踊りながら歌ってるよ・・・。」
上手いとか下手とか、素人かプロかとか関係無しに率直な感想でした。
当時ラブライブにはまっていて、口パク部分もあったために、尚更強く感じました。
これを機にWake up,Girls!を追っていくこととなります。


■最悪なスタート
2014年の1月からアニメが始まりました。
ラブライブ2期までの繋ぎで見るか程度でした。
僕はそこそこ楽しめましたが、世間一般の感想はとても厳しかった。

「クソアニメ、ゴミアニメ」
「演技がヘタクソすぎる」
作画崩壊とかいうレベルじゃない」
「パンツアニメ」
「ワキガールズwwwワキガwww」

これはアニメ自体のクオリティが低すぎたからというモノだけでなく、
作品の監督の発言にも問題があったためこうなったのだと思います。
当時の2013年の年末にはアイマスの劇場版がやっており大盛況な作品でした。
アイマス知らないながらも友人に誘われて見に行きましたが、
とてもいい作品だなあと思いながら、泣いてしまったし、上映後にCDも買いました。
そんな作品のファンに対して監督は喧嘩腰と捉えられるような発言をし、
当時のアイマスのファンからは忌み嫌われるようになったのではないでしょうか。

「あんなこと言っておきながらこのありさまかよ」

そんな感じで批判の言葉が溢れていました。
この出来事はその後もしばらく引っ張っていかれました。
僕自身も最初のほうはアンチ側でしたが、途中から話が面白くなり、
キャストの子たちの頑張りを見てから応援するようになりました。


アンチをファンに変えてしまえる力を彼女たちは小さいながら持っていました。


■転機はWake Up, Girls!VS I-1club
2014年の冬に行われたWake Up, Girls!Festa.2014 Winter ~Wake Up, Girls!VS I-1club~。
これが僕の初めてのWake up,Girls!の現場でした。
12月に行われたイベントで、それまでにも数多くのイベントがありましたが、
僕はWake up,Girls!の存在を忘れていました。
ラブライブがちょうど人気爆発の時期でしたので全力を注いでいました。
当時のWake up,Girls!はCDはOP、ED、挿入歌、I-1に加え、キャラソン1が出始めていたころで、
ラブライブと違い、ハマったときに掘り起こすものがほとんどなかったからです。
行くまでにキャラソンをみんなで予習したりして、友人と4人でライブを見に行きました。

「楽しかったけど、もっと頑張っていってほしい」

これが公演後に友人と話しながらでた僕の感想でした。
やっぱり素人だしあんまり上手いと思えなくて、I-1の人たちのがすごいなぁと。
ただそれでも順調に上手くなっていて、これから先に期待!という感じでした。
中でも山下七海さんは、この日僕の心に印象強く残りました。
オオカミとピアノを歌って踊る姿はとても魅力的で、
この日から推しになり、今現在も山下七海さんの虜となっているのでした。

腰をくねくねしていた姿が本当に印象に残っています。僕は山下さんでしたが、


彼女たちは誰かの心を虜に出来るレベルへ、確実に成長していました。


Beyond the Bottom
劇場版2作もちゃんと見ました、ここまで見てよかったと素直に思えました。
そしてその主題歌である少女交響曲Beyond the Bottom
この2曲のMVが公開されたとき、とても鳥肌が立ったことを覚えています。
そのとき久しぶりにWake up,Girls!を見ましたが、驚くほど進化した7人がいました。
イントロからキャッチーで惹きつけられる楽曲にキレを増してきたダンス、
感情を乗せ表情で歌う、驚くほど進化したパフォーマンス。
そしてそれら全てを落とし込み、世界観を作り出した物語性のあるMV。
本当に感動してしまい、心をなにかわからないものに揺さぶられました。
それはポルノグラフィティSEKAI NO OWARIといった、
僕の大好きな一流アーティストのライブで味わうものと同じでした。
このとき僕は「彼女たちは"アーティスト"になっていくんだ」、と感じました。


素人同然だった彼女たちは、僕の中でアーティストへの階段を上り始めたのでした。


Wake up,Girls!ってまだいたんだ(笑)
灼熱の卓球娘が放送していた時期で印象に残っている言葉です。
Wake up,Girls!はまだ外の世界では見つけてもらえていないのか、
と現実を突きつけられました。それ以降はタイアップにあやかり、
Wake up,Girls!っていう子たちがいてね」と布教するようにしていきました。
でも実際の反応としては、

「まだ解散してなかったんだね!」

「ワキガwもうとっくに死んだと思ってたよw」

趣味で他コンテンツの同人即売会にサークル参加していた時期もあり、
Wake up,Girls!の即売会のチラシも配られてましたが、
それを見た人たちも同じような反応でした。悔しかった。
だからそれ以降のタイアップ曲ではさらに強く知り合いに勧めた。
僕の布教が通じたのか、僕らのフロンティアから曲を聴いてくれる人や、
恋?で愛?で暴君です!でハマってくれた友人とか少ないながらもいましたし、
なによりアニメのタイトルを出してこれの主題歌うたってるよ!っていうと、
「え、そうなの?けっこうその曲好きだよ!」という声を聞くことが多かった。
彼女たちもタイアップによって主要キャラを演じることもあり、
声優としての知名度も少しずつアップしていったようにも感じます。
このタイアップ時期による布教活動によって、
改めて自分の中でWake up,Girls!の存在とファンとしての思いが大きくなりました。


数多くあるコンテンツ、無数の星のなかで、
彼女たちは徐々に輝きを強くしていくのでした。


■輝きを増していた圧倒的パフォーマンス
2014年フェス以降、4thライブでひさびさの現場にいきました。
最後に僕が見た2014年の素人同然で、もっとがんばってくれ!
と思った彼女たちの姿はそこにはありませんでした。
可愛く、綺麗になり、歌唱力も格段に伸び、ダンスも綺麗でキレがある。
そしてワンフェス2013で1番驚いた、踊りながら歌うを最後までやり切る姿。
ライブを見ながら涙ぐんだのを思い出します。

先に言ったように2014年のフェス以降、僕は現場に行っていません。
ラブライブアイカツ、サンシャインにハマってという形でした。
夢中になりましたが、僕の中では瞬間火力といった感じで、すぐ冷めていきました。
Wake up,Girls!は4か月に1度ぐらいの頻度で聴きたくなる時期というものがあり、
それを機に2か月ぐらい聴き込んではまた聴かなくなるを繰り返していました。
この距離感が良かったのかもしれませんが、
初めて触れたときから「飽きた」と思ったことは1度もなかった。
なんなら久々に聴いたときに「実家のような安心感」がありました。
既にHOMEだったのかもね。

そしてなぜこの時期に行こうと思ったのかというと、
「声優が声優として歌うライブ」にめちゃくちゃ飽きていたからです。
だからこの時期はアニメではなく世間一般アーティストのライブに良くいきました。
そんななか暴君のMVでハマったハロプロ好きな友人が、
Wake up,Girls!のライブに行きたい」と言い、即4th大阪公演のチケを取りました。
友人とグッズページを見て、
「キャラより本人のグッズのほうが多くね?これはあたりかも」
と話したのを覚えています。
その友人もこの公演を機にハマり、その後の広島公演もいったみたいです。
ハロプロといえば歌とダンスというのが僕のイメージですが、
そんなハロプロ好きをここまで動かすパフォーマンスがあるんだと思いました。


彼女たちのパフォーマンスは彼女たちにしか出来ない、
唯一無二の世界観が完成されていました。


■魔法は いつか解けると 僕らは知ってる
Green Leaves Fesは大盛況でした、そう思います。
昔から今の曲までたくさん聴けて本当に楽しかった。
オオカミとピアノも、僕としては2014年のフェス以来で本当に嬉しかった。
Beyond the Bottomも笑顔でソロを歌いきる山下さんに心を打たれて泣きました。
Wake up,Girls!もいよいよここまできた!ここから絶対時代が来る!」
そう友人と話して盛り上がっていました。次のライブ楽しみだな!とか本当にいろいろ。
でもそんな最高な気分も長くは続きませんでした。

2018年6月15日。
突如として発表された解散。

全ワグナーが戸惑ったでしょう。グリフェスに参加した人なら尚更。
最初は全く状況が読み込めず、心が無になりました。
あんなに最高のパフォーマンスをしたのに?
こんなにも各々が実力を上げてきてやっとファンも増えてきたのに?
もう本当にぐちゃぐちゃでした。
商業的にはあまり良くなかったのだろうと最初のころから思ってはいました。
だからここまで続いてるのが不思議だと思うこともありました。
でもあれだけのパフォーマンスがあれば絶対にファンは増えてくる!いける!
そう自分に言い聞かせていたのかもしれません。

「魔法は いつか解けると 僕らは知ってる」 SEKAI NO OWARI:RAIN

僕の好きなSEKAI NO OWARIの歌詞です。
本人たちもいつか終わると知っていただろうし、僕らワグナーも知っていたでしょう。
終わりがあるからこそ、輝きも増すだろうし、極限の力というものも出るのでしょう。
発表されてからSSAまでの半年間、HOMEツアーでは最高を更新し続けてきました。
新規の人たちへの布教も今までの倍、それ以上の熱量があったと界隈を見て思います。
そしてその想いが届いたのか、HOMEツアーでSSAでの追加公演が発表されました。
本来はHOMEツアー2月の千秋楽である仙台で解散の予定でした。

「完結してたはずの世界を 変えてゆけるんだね」 (スキノスキル)

そんな"約束の時"まで様々な行動をしてきた僕らの最後の想いは、
「もっとたくさんの人にWake up,Girls!を見てほしい、知ってほしい」
というものだっただろうなあと思います。少なくとも僕はそうでした。


一緒に走ってきたWake up,Girls!とワグナーは、
約束の地で1番先の景色を一緒に見れるよう走り出します。


■約束の時、約束の地で
そして約束の時である3月8日がきました。
この日は先行で取った7連番でライブに挑みました。
僕、友人、ハロプロ好きの友人、HOMEツアーで5年ぶりに現場にきた友人、
徳島公演が初参戦の弟、Wake up,Girls!をあまり知らないイラストレーターの友人、
ツイッターで知り合った初見の方。
僕の弟はSSAが2回目の現場、イラストレーターの友人とツイッターの方は初現場。
他コンテンツの友人や知り合いにも声をかけたけど、日程とかもあって新規を3人。
そして5年ぶりに現場にきてくれた友人と4人を誘ってこれた、満足。

朝5時過ぎに物販を並んでいましたが、陽が昇ってくるにつれて増えてくる人。
最終的には今までの現場ではありえないほどの人でした。
グッズも物販開始から1時間半ですべて完売してしまうという出来事もおきた。
ほんの数か月前は開演1時間前に行ってもけっこうグッズ買えたんですよ?信じられん。

開場してからはたくさんのフラスタを見ました。
数多くの業界人からのフラスタ、ファンからのフラスタ。
僕が見てきたWake up,Girls!はいろんな人に愛されていました。
続々と会場の席が埋まっていくのを見て涙が出そうでした。
いつもやっているキャパの5倍、6倍の会場が埋まっていく。泣けるわ。

ライブ中はもう無我夢中で細かく書けるほど覚えていません。
でも間違いなくWake up,Girls!、優勝!だったなと思います。
アニサマ2018で起きた偶然ではなく必然な出逢いであったのかもしれない、
ドリフェス!というコンテンツの言葉を借りるならば、間違いなく"勝ち"だったのだろうと。
清々しい、全部やりきったという感情で終えることができたのは、ドリフェス!効果もあったはず。
僕はDearDream解散のあの日、あの場所に行けなかったけど本当に感謝しています。

Wake up,Girls!の7人が夢に見た景色を見せることができたこと。
僕らワグナーが見たかった景色を7人が見せてくれたこと。
Wake up,Girls!のパフォーマンスを1人でも多くの人に見てもらえたこと。
めっちゃ泣いたな。よかった。初見の友人もめっちゃ泣いてたよ。

たぶんラブライバーアイマスPとか他コンテンツの人もたくさんいた。
最悪のスタートだったけど、最後は他コンテンツの人も巻き込んだ。
舞台で共演した人たち、東北の聖地の方々、同業者の方々もたくさんきてくれた。
仙台の伊達武将隊のみなさん、岩手のイーハトーヴシンガーズさんなど、
現地にはこれなかったけどSNSで応援してくれていた人もいる。


様々な繋がりを作ってくれたWake up,Girls!は、
3月8日のファイナルライブをもって解散し、
彼女たち「7人のアイドル」の物語は最後のページをめくったのでした。

 


■僕たちの第2章
ライブ中にメンバーが手紙を読む時間がありました。
「いま気づかれなくてもいい。5年でも、10年でも、20年先でも、
WUGってすごいグループだったと言ってもらえる自信があります。」
こういったのは永野愛理さん。
ライブ後これを噛みしめて考えていると、SEKAI NO OWARIの歌詞が浮かびました。

「虹はいずれ消えるけど雨は 草木を育ててゆくんだ
 虹が架かる空には 雨が降ってたんだ
 いつか虹が消えてもずっと 僕らは空を見上げる」 SEKAI NO OWARI:RAIN

Wake up,Girls!は解散したけど、あの場にいたすべての人の心に刻まれたでしょう。
あの時流した僕らの涙は悲しみの涙だけでなく、やり切った涙もあるのでしょう。
Wake up,Girls!が解散したあとも彼女たちのことは覚えているし、
あの日来た初見の人たちでこれからワグナーになっていく人もいるはず。
そんな人たちと一緒に5年後、10年後、20年後、
極上の笑顔で彼女たちとまた会えるよう、草木のように強く生きていきましょう。
そうすればWake up,Girls!は終わらない、だってボクらDreamerですからね。


最後にアイドルとは物語であるというタイトル。
これは劇場版7人のアイドルで丹下社長が言った言葉であり、
原案、監督である山本寛監督のアイドルへの考えでもあります。
2018年9月1日のキャンディーズというブログ記事に山本監督の考えが綴られています。
キャンディーズピンクレディー、両方とも母が好きでした。
山本監督が思い描いていたものとは全く違うのだろうと思いますが、
僕にはWake up,Girls!には、とても大きな物語があったと思います。
この7人を選んでくれたこと、本当に感謝しています。